記憶術で人生を変えよう

記憶力が上がる環境

 記憶力が上がる環境、記憶術が最も効果的に使える環境とはどんな環境でしょうか。誰でも思い浮かぶのは、集中できる環境だろうと思います。ですが、この集中状態は、多くの人がちょっとした誤解をしています。あなたは、集中とリラックスは、対極にあると誤解してはいないでしょうか。リラックスの反対は緊張ですよね。確かに緊張状態でも集中はできます。まれに緊張しているうちは、集中していない証拠だ!という人もいますが、そうではありません。ただ、記憶するのにベストな状態がリラックスした上での集中状態ということになります。仕事中の、意識の状態を表すのによく用いられているフェーズ理論を知っているでしょうか。フェーズ理論でいえば、フェーズⅣは緊張しすぎで、自分が意識を集中しているもの意外は目に見えないような状態。これが緊張して集中している状態です。フェーズⅢが何をするにしても最も効率の良い状態で、リラックスしていながらも集中しているという状態になります。ですから、記憶力が上がる、集中できる環境というのは、実はリラックスできる環境でもあるわけです。誰でも身に覚えがあると思いますが、他には誰もいない自分の部屋はリラックスできますよね。周囲の雑音が聞こえなければなおベストです。といっても、全くの無音状態だと人は逆に緊張してしまうそうですので、煩いと感じない程度の音がしているのは問題ありません。周囲のざわつきなどが気になる場合は、逆に音楽などをかけて音のマスキングをしたほうが集中しやすくなる人が多いようです。そして室温は適温、血行が悪いと集中が途切れますので、寒いのはいけません。血行を良くする意味でも、部屋の中を歩きながら暗記するというのもいいですよ。

 そして、リラックスしながらも集中していると、脳はどんな状態になるかというと、エンドルフィンというものが出ています。エンドルフィンというのは、脳内麻薬の一種です。というか、脳内麻薬の補助的な役割を果たすもので、A10神経のドーパミン遊離を促進させることで、多幸感をもたらします。マラソンランナーが苦しいというよりも、気分が高揚してくる状態をランナーズハイといいますが、この状態が、エンドルフィンが放出されている状態です。エンドルフィンの濃度が上がると、一時的にシナプスの活動電位が活発になり、長期記憶を保存する脳細胞へ情報が保存されやすい状態になります。つまり、単純にいえばエンドルフィンが放出されている状態というのは、記憶力が上がるということになります。ではどうすればこのエンドルフィンが放出されるようになるのでしょう。ランナーズハイ状態の他は、性行為の間や、パチンコ依存症の方がパチンコをしているときにも、このエンドルフィンが放出されています。パチンコに限らず、何らかの依存症にある人は、その行為の最中はエンドルフィンが放出されることがほとんどです。それでは勉強依存症になれば、記憶力は上がるということでしょうか。もちろん勉強が、好きで好きでたまらないという人は、勉強中もエンドルフィンが放出されています。ですがほとんどの人は、いやいややっている勉強中には、エンドルフィンは出てはいない訳ですね(笑)。環境を気にするよりも、楽しく、面白く勉強する工夫があればそのほうが記憶力は上がるのです。