記憶術で人生を変えよう

正しい復習のタイミング

 ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスは、記憶の忘却の研究を重ねて、忘却曲線を発見しました。人には忘却曲線があります。忘却曲線とは中期記憶、つまり短期記憶から長期記憶に移行する間、どのくらい覚えなおすために時間が必要かという事を示しています。基本的に、一度短期記憶に入ったものを忘れてしまっても、それを覚えなおすのに、最初覚えるのに必要だった時間よりも短い時間で記憶することができます。これを節約率というのですが、この節約率は、時間を置けば置くほど、節約できずに、時間がかかるようになって行きます。人間は短期記憶をどんどん忘れていきます。ですが、その名から中期記憶になり、長期記憶にしていくためには復習という方法が効果的、これは誰でも身に覚えがあるでしょう。忘却曲線を理解すれば、効果的に復習でき、長期記憶に変えることができます。

 基本的に、単語を100個覚えても、次の日に覚えていることはせいぜい10個です。もちろんもともと記憶力のいい人は、もっとたくさん覚えているでしょうが、普通の人はそんなものです。そして次の日に復習して覚え直します。すると次の日は、30個くらいは覚えているのです。さらに復習すれば、次の日にはすべて覚えているかもしれません。復習をして覚え直したことは、だんだん覚えている期間が長くなっていきます。通常、人は1日で、覚えたことの70パーセントを忘れてしまいます。ですが、翌日に忘れた70%を覚え直せば、その記憶は エビングハウスが見つけたのは、同じ100個の単語を覚えるのに、仮に1時間かかるとします。そのうちの大半は忘れてしまうのですが、忘れてしまってからであっても、もう一度覚えなおすと今度は以前より短い時間で覚えなおすことが出来るということです。ですが覚えなければいけない、記憶しなければいけないことがたくさんある以上、毎日同じことばかり繰り返して勉強するわけにはいきません。ですから、最も効率的に覚えなおすために、つまりなるべく復習の回数を減らしつつ、長期記憶にするには、復習のタイミングがあるということになります。

 DWM法という勉強方法を聞いたことは無いでしょうか。Day、Week、Month、つまり一日後、一週間後、一ヵ月後に復習すると効果的に記憶できるということです。一般的に、これが効率的な復習のタイミングだと言われていますが、実はこれは個人差があります。翌日、3日後、10日後が効果的な人もいますし、翌日、10日後、2ヵ月後であっても節約率を活かせる人もいるでしょう。ですから、DWM法という言葉に惑わされずに、自分にあった復習のタイミングを捜さなければいけないのです。最初はDWM法通りにやってみて、上手くいったのなら次はもう少し間隔をあけて試してみて、ほとんど覚えてはいられずに、ほぼ最初と同じ時間がかかってしまったというのであれば、間隔を短くしていきます。自分にとって最適なタイミングが分かれば、今後の人生において大きな時間短縮効果をもたらしてくれるはずです。